令和元年度(2019)フロン類算定漏えい量の集計結果が公表

2015年4月に施行されたフロン排出抑制法には、フロン類算定漏えい量報告・公表制度が定められています。このたび、同法施行以来5度目となる令和元(2019)年度フロン類算定漏えい量の集計結果が2021年3月23日に公表されました。

詳細は環境省、経産省の報告書を参照していただくべきものですが、今回の集計結果の主な項目について、5年間の数値比較を行います。

【出典】 

1. 特定漏えい者数、特定事業所数、各算定漏えい量の合計

特定漏えい者数、特定事業所数、各算定漏えい量の合計

*特定漏えい者:事業者全体で1,000CO2トン以上のフロン類の漏えいがあった管理者

**特定事業所:1,000CO2トン以上のフロン類の漏えいがあった事業所

 

特定漏洩者数は過去5年で最少の数字となりましたが、同算定漏洩量はわずかに減少も過去5年間横ばいの結果となりました。

特定事業所数は昨年より2件増加しましたが、同算定漏えい量は過去5年で最少の結果となりました。

2. 冷媒別特定漏えい者数(2019年度上位10冷媒)

冷媒類別特定漏えい者数(2019年度上位10冷媒)

冷媒別特定漏洩者数は順位の入れ替えはほとんどなかったものの、漏洩者数としては全体的に1割~2割強の減少が見られます。増加傾向であったR-32も2019年度は初めて減少に転じました。

3. 業種別(中分類)特定漏えい者数(2019年度上位10業種)

業種別(中分類)特定漏えい者数(2019年度上位10業種)

2017年は全体に占める上位3業種の割合が5割であったのに対し、2018年に引き続き2019年は6割を超える事業者数となりました。また、小売業2業種で全体の半数近くを占めていますが、全体的に2018年比では減少傾向にあります。

4. 都道府県別特定漏えい者数(2019年度上位10都道府県)

都道府県別特定漏えい者数(2019年度上位10都道府県)

前年に引き続き、一部の順位が入れ替わったのを除き、上位10都道府県に大きな変化はありませんでした。最も報告件数が少ない県は高知県と沖縄県(20件)でした。

***特定漏えい者数は複数都道府県について報告した特定漏えい者があるため、合計値は単純合計ではない。

5. 冷媒別算定漏えい量(2019年度上位10冷媒)

冷媒別算定漏えい量(2019年度上位10冷媒)

****特定漏えい者の算定漏えい量の合計

 

2017、18年度に引き続き、算定漏えい量(特定漏えい者)は上位2冷媒(R-22、R-404A)で全体の8割以上、上位3冷媒(上位2冷媒+R-410A)で全体の9割を超える数値となりましたが、全体的に漏えい量の減少傾向が見受けられる結果となりました。

6. 業種(中分類)別算定漏えい量(2019年度上位10業種)

業種(中分類)別算定漏えい量(2019年度上位10業種)

前年に引き続き上位4業種(各種商品小売業、飲食料品小売業、食品製造業、化学工業)で全体の8割を超える事業者数となっており、上位10業種で全体の9割を占める算定漏えい量となっていますが、漏えい量は一部を除き全体的に減少傾向でした。

7. 都道府県別算定漏えい量(2019年度上位10都道府県)

都道府県別算定漏えい量(2019年度上位10都道府県)

1位の東京、2位の大阪は5年連続同順位ですが、兵庫県が前年の9位から3位へと上昇し、その他の県についても順位の入れ替わりが多く見られました。全体に占める上位10都道府県の割合は2018年の6割弱から2019年は5割へ減少しました。

8. 各社の対応

例年同様、特定漏えい者各社のフロン類算定漏えい量の削減に関し、実施した措置、また実施を予定している措置について公表されています。

特定漏えい者に係る関連情報のうち、「フロン類算定漏えい量の削減に関し実施した措置」と「フロン類算定漏えい量の削減に関し実施を予定している措置」について記載内容が表としてまとめられていますので、以下に抜粋します。

措置

【出典】環境省・経済産業省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 に基づくフロン類算定漏えい量報告・公表制度による 令和元(2019)年度フロン類算定漏えい量の集計結果」令和2年3月23日(P.55)

 

実施した措置では、「機器の導入・更新に関する取組」が最も多い措置となっています。これまで多かった「会社全体としての取組」の「従業員教育に関する取組」はこれまでより減少した結果となっていることから、事業者内での認知が進んでいるのではないかと推察することができます。

実施を予定している措置については、「老朽化機器・漏えい量が多い機器の更新」が16件と前回に引き続き最も多い結果となりました。また「ノンフロン機器の導入」が全体で2番めの多さとなり関心の高さが伺えます。

具体的な実施内容と実施予定内容の詳細については、情報提供事業者名が挙げられ、それぞれの報告内容が記載されています。