平成30年度(2018)フロン類算定漏えい量の集計結果が公表

2015年4月に施行されたフロン排出抑制法には、フロン類算定漏えい量報告・公表制度が定められています。このたび、同法施行以来4度目となる平成30(2018)年度フロン類算定漏えい量の集計結果が3月19日に公表されました。

詳細は環境省、経産省の報告書を参照していただくべきものですが、今回の集計結果の主な項目について、4年間の数値比較を行います。

【出典】 

1. 特定漏えい者数、特定事業所数、各算定漏えい量の合計

特定漏えい者数、特定事業所数、各算定漏えい量の合計

* 特定漏えい者:事業者全体で1,000CO2トン以上のフロン類の漏えいがあった管理者

** 特定事業所:1,000CO2トン以上のフロン類の漏えいがあった事業所

算定漏えい者数、特定事業所数ともに、2017年度は前年比増加の傾向でしたが、2018年度については、算定漏えい者数、特定事業所数ともに減少しました。特定事業所数については算定漏えい量の合計とともに前年比約1割の減少となりました。

2. 冷媒別特定漏えい者数(2018年度上位10冷媒)

冷媒類別特定漏えい者数(2018年度上位10冷媒)

2018年度は、2017年度に引き続き、前年比で多少の順位の入替があるものの大きな変化はありませんでした。R-32については、増加の度合いに鈍化傾向が見受けられます。また、R-11、R-123は前年比2割前後減少しました。

3. 業種別(中分類)特定漏えい者数(2018年度上位10業種)

業種別(中分類)特定漏えい者数(2018年度上位10業種)

上位3業種の全体に占める事業者数の割合は前年までは約5割であったのに対し、2018年度は6割を超える事業者数となりました。その中でも食料品製造業は前年比7%以上の増加となり、上位2業種に比べ大きな増加となりました。

4. 都道府県別特定漏えい者数(2018年度上位10都道府県)

都道府県別特定漏えい者数(2018年度上位10都道府県)

一部の順位が入れ替わったのを除き、上位10都道府県に大きな変化はありませんでした。最も報告件数が少ない県は2017年度に引き続き高知県でした。

*** 特定漏えい者数は複数都道府県について報告した特定漏えい者があるため、合計値は単純合計ではない。

5. 冷媒別算定漏えい量(2018年度上位10冷媒)

冷媒別算定漏えい量(2018年度上位10冷媒)

**** 特定漏えい者の算定漏えい量の合計

2017年度に引き続き、算定漏えい量(特定漏えい者)は上位2冷媒(R-22、R-404A)で全体の8割以上、上位3冷媒(上位2冷媒+R-410A)で全体の9割を超える数値となりました。R-507Aは前年比30倍以上の増加となっていますが、2018年度の全体に占める割合は0.4%でした。

6. 業種(中分類)別算定漏えい量(2018年度上位10業種)

業種(中分類)別算定漏えい量(2018年度上位10業種)

上位4業種(各種商品小売業、飲食料品小売業、食品製造業、化学工業)で全体の8割を超える事業者数となっており、上位10業種で全体の9割弱を占める算定漏えい量となっています。漁業と電気業を除き、全体的に増加傾向でした。

7. 都道府県別算定漏えい量(2018年度上位10都道府県)

都道府県別算定漏えい量(2018年度上位10都道府県)

1位の東京、2位の大阪は4年連続同順位ですが、3位以下は2017年度同様、順位の入れ替わりが多く見られました。上位10都道府県で全体の6割弱の算定漏えい量を占めています。

8. 各社の対応

例年同様、特定漏えい者各社のフロン類算定漏えい量の削減に関し、実施した措置、また実施を予定している措置について公表されています。

特定漏えい者に係る関連情報のうち、「フロン類算定漏えい量の削減に関し実施した措置」と「フロン類算定漏えい量の削減に関し実施を予定している措置」について記載内容が表としてまとめられていますので、以下に抜粋します。

措置

【出典】環境省・経済産業省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 に基づくフロン類算定漏えい量報告・公表制度による 平成 30(2018)年度フロン類算定漏えい量の集計結果」令和2年3月19日(P.53)

 

実施した措置では、「老朽化機器・漏えい量が多い機器の更新」「従業員教育に関する取り組み」が最も多く、「その他の機器導入・更新」「機器の施工に関する取組」「日常点検(簡易点検)における取組」「その他の点検・整備に関する取組」が次に多い結果となりました。

実施を予定している措置については、「老朽化機器・漏えい量が多い機器の更新」が20件と圧倒的に多い結果となりました。

具体的な実施内容と実施予定内容の詳細については、情報提供事業者名が挙げられ、それぞれの報告内容が記載されています。