平成27年度(2015)フロン類算定漏えい量の集計結果が公表

2015年4月に施行された「フロン排出抑制法」。この法律に基づく「平成 27 (2015) 年度フロン類算定漏えい量」の集計結果が、環境省・経済産業省より公表されました。今回は本報告書の概要と、注目すべき事柄をご紹介します。

 

【出典】  環境省「フロン類算定漏えい量報告・公表制度による平成27(2015)年度フロン類算定漏えい量の集計結果の公表について」(平成29年2月20日)

1.「フロン類算定漏えい量報告・公表制度」の目的

本報告書には、「フロン排出抑制法」開始後、初めてとなる平成27 (2015) 年度の算定漏えい量の集計結果が、事業者別、業種別、都道府県別にとりまとめられています。

これは「フロン類算定漏えい量報告・公表制度」によるものであり、この制度の目的は、機器からのフロン類の漏えいの実態を把握・公表することによって、より適切な機器の管理を促進し、フロン類の排出抑制に資することにあります。よって、一概に、漏えい量の多寡をもって比較できるものではないとされています。実際、機器の設置環境や使用されているフロン類の種類、機器の規模、機器の保有台数等のあらゆる要因によって、漏えい量は左右されるといわれています。

2. 主な集計結果

本報告書の集計結果のうち、注目すべきものを抜粋してご紹介します。

フロンの種類別の算定漏えい量は、以下のグラフの通り、特定漏えい者はR-22、R-404A、R-410Aが多く、特定事業所はR-22、R-404A、R-11が多い結果となりました。

フロン類の種類別算定漏えい量内訳

業種別R-22、R-404A、R-410Aの状況

特定漏えい者を業種別にみると、特に多かった業種は「各種商品小売業」「飲食料品小売業」「食料品製造業」の3業種で、合わせて全体の過半数を超えています。「各種商品小売業」はR-22、R-404Aにおいては40%以上と多くを占めています。

業種別R-11とR-134aの状況

R-11は「化学工業」「熱供給業」が合わせて過半数超えとなり、

「鉄道業」「電子部品・デバイス・電子回路製造業」が続きます。R-134aは「化学工業」「電気業」「輸送用機械器具製造業」「熱供給業」が過半数に上ります。特に「化学工業」と「熱供給業」が多くを占めました。

フロンの地域別算定漏えい量(単位:tCO2)

特定漏えい者の算定漏えい量を都道府県別でみると、上位3位は東京都(9.1%)、兵庫県(7.3%)、神奈川県(7.1%)で、特定事業所は兵庫県(11.4%)、千葉県(9.2%)、茨城県(8.9%)となりました。全体として、関東・関西・東海・北海道が多くを占めています。

(参考)冷媒別の主な用途

出典:一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構(JRECO)「地球温暖化係数(GWP)一覧

  • * GWP(Global Warming Potential):地球温暖化係数

冷媒別の主な用途

3. 各社の対応

報告書内では、特定漏えい者各社のフロン類算定漏えい量の削減に関して実施した具体的措置内容、及び実施を予定している措置の内容についても公表されています。

多くの特定漏えい者が、低GWPまたはノンフロン冷媒を使った新型機種の新規導入、老朽化した機器の入替を予定しています。また、フロン回収方法の改善、社内における「地球温暖化防止」意識の向上に努めるとする業者、具体的な低GWP冷媒を挙げて機器導入を進める、といった業者もあります。各社がフロン漏えいの抑制と、機器に使われている冷媒の“低GWP化”を進めていることが分かります。

※上記は報告書のごく一部を抜粋したものであり、冷媒別用途については一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構(JRECO)の資料を参照したものです。詳細は正式な報告書の参照を推奨します。