サージングとは

サージング(Surge:急上昇、圧力の急激な変化)とは、遠心式圧縮機の吐出ガス圧が吐出側の圧力に負けて、ガスが吐出できなくなったり、ガスの逆流が発生する現象です。遠心式圧縮機においサージングが起きると、振動が激しくなり、運転が不安定になります。これは圧縮機の圧力ヘッドが足りないことを意味します。

ターボ冷凍機の圧縮方式

ターボ冷凍機はスクリュー等の容積型圧縮機ではなく遠心式圧縮機を使用し、インペラーの回転により冷媒を圧縮しています。インペラーには圧縮限界があり、限界を超えるとサージング状態となります。一度サージングを起こすと、原因が解消されない限り、サージング状態が継続します。

ターボ冷凍機の圧縮方式

ターボ冷凍機におけるサージング原因

 

  • 冷却水が設計温度を超えた温度で運転されている
  • 冷却水温度が設計温度であっても、冷水が設計値より低い温度で運転されている
  • 凝縮器・蒸発器の熱交換器が汚れている
  • 不凝縮ガスが機内に多く侵入している
  • 設計限界以下の低負荷で運転されている
  • インバータ・ターボの回転数が低い、制御に異常が発生している

 など

ターボ冷凍機のサージング限界

下図はターボ冷凍機の圧縮機マップの例になります。図のサージング限界線を超えると圧縮機はサージング域に入ります。そのため、サージング限界線に近似する運転にならないように圧縮機を設計しなければなりません。冷凍機の設計点は要求される冷却能力と冷水・冷却水の温度条件により決まり、この図ではA点が冷凍機の設計点となります。冷却負荷が小さくなるとアンロードライン上のA-C間で運転することになりますが、サージング限界線から離れており安定した運転となります。

しかしながら、前述のどれかの原因(場合によっては複数)が発生すると、アンロードラインは赤い破線のように変わり、A‘-B’間での運転となり、B‘を下回る運転点ではサージングとなります(サージングが継続すると圧縮機保護のため運転を停止することになります)。

ターボ冷凍機のサージング限界
 

また、インバータ・ターボ冷凍機で回転数制御を行う場合、回転数を上げるとこの線図が膨らみサージング限界線が上がり、回転数を下げると線図が縮みサージング限界線が下がるような形で変化します。